私たちが生きていくために必要不可欠な食事。健康な体を作り、生活の基礎となるはずの食事ですが、世界を見渡せば十分に食事をとれず、飢餓に苦しんでいる人々がいます。
その一方で、食べ過ぎや栄養過多による肥満の問題を抱えている人々もたくさんいるという現実があります。
特定非営利活動法人TABLE FOR TWO Internationalでは、こうした状況を改善していくため、先進国でヘルシーなメニューを1食食べれば開発途上国に1食分の給食が贈られるTABLE FOR TWOプログラムを立ち上げました。
誰でも気軽に参加できるこのプログラムは、多くの人に賛同され、実績をあげています。
今回は、このTABLE FOR TWOプログラムについてご紹介します。
飢餓に苦しむ人々と肥満に苦しむ人々
現在、世界人口の9人に1人にあたる8億2100万人もの人が飢餓状態に、3人に1人が栄養不良の状態にあるという悲しい現状があります。(※1)
飢餓や貧困に苦しむ人たちがたくさんいる一方で、1975年から2016年にかけて肥満状態にある人の数が約3倍、20億人近くにまで増えています。(※2)
肥満は心臓病や脳卒中などの心血管疾患や糖尿病、一部のがんなど様々な病気を引き起こすリスクとなる大きな問題であることはよく知られています。
飢餓と肥満、この二つの相反する大きな問題をどう解決していくかという課題に世界は直面しているのです。
「先進国での健康的な食生活の推進」と「開発途上国での給食の提供」を同時に実現
このような現状を少しでも改善しようと、2007年TABLE FOR TWOプログラムが開始されました。
このプログラムに参加している社員食堂や学生食堂、レストランなどで対象となるヘルシーなメニューを購入するたびに、1食につき20円が寄付され、アフリカやアジアの子ども達が通う学校給食のために使われます。
20円という額は、開発途上国での給食1食分に当たります。
つまり、TABLE FOR TWOプログラムは、「1食を分かち合う」ことで、先進国ではヘルシーな食事により肥満解消が望め、開発途上国では子ども達が学校で給食を食べて栄養不足を補えるというシステムなのです。
このプログラムでは、アフリカはウガンダ、ルワンダ、タンザニア、ケニア、アジアではフィリピンにおいて、学校給食支援と同時に菜園や農業の生産性を向上させるための支援も行っています。
子ども達が食べる給食には、なるべくその土地で育てた食材を使えるようにし、より多くの栄養を取れるよう配慮するためです。
また、開発途上国では、学校に通えない子ども達が多数いるという状況がありますが、学校に行けば給食が食べられるということで、積極的に学校に通う子どもが増えてきました。
その結果、子ども達の健康状態が改善されると同時に、小学校の就学率や中学校への進学率が大きく伸びてきています。2018年には支援先の村で初めての大学進学者も出ました。
このプログラムを通じて学校で提供される給食が、子ども達に学びの機会を作り、一人ひとりの夢へとつなぐ大きな役割を果たしているのです。
ジャパンSDGsアワードでSDGs副本部長賞を受賞!
プログラムの開始後、企業や官公庁、大学、病院など約700団体以上、人数としては延べ約1200万人がプロジェクトに参加し、累計約7400万食の給食がウガンダやルワンダ、タンザニア、ケニア、フィリピンに届けられました。
また、TABLE FOR TWOプログラムは大きな広がりを見せ、スポーツを通した取り組み「カロリーオフセット」や「SDGsを学ぶ修学旅行」など様々な取り組みが進んでいます。
中でも、TwitterやInstagram、FacebookといったSNSに、おにぎりの写真を投稿すると1投稿につき給食5食分相当(100円)の寄付ができる「おにぎりアクション」では、2015年にスタートしてから累計80万枚の写真が投稿され、約450万食の給食が寄付されました。
先進国と開発途上国とが食を分かち合い、それぞれの国での健康状態の改善や、開発途上国の教育環境の向上などに大きく貢献したことや、気軽に参加できるわかりやすい取り組み、「おにぎりアクション」でのパートナーシップなどが評価され、2019年には「第71回 保健文化賞」と第3回ジャパンSDGsアワード「SDGs副本部長(外務大臣)賞」をダブルで受賞しました。
一石二鳥の素敵なアイデア、TABLE FOR TWOプログラム
TABLE FOR TWOプログラムは、先進国での1食を分かち合い、開発途上国に給食を提供することで、SDGs目標2「飢餓をゼロに」、目標4「質の高い教育をみんなに」に貢献しています。
さらには先進国の肥満の問題解消にも同時に目を向けることで、目標3「すべての人に健康と福祉を」にもつながるものであり、多くの団体や参加者が行動を共にし、目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」を実践していくという取り組みでもあります。
一方通行の寄付ではなく、寄付する側にも健康増進効果をもたらすという一石二鳥のこのプログラムは、先進国の私たちと地球の裏側にいる開発途上国の子ども達が、時間と空間を超え食卓を囲み、食事を分かち合うイメージから「二人の食卓」を意味する「TABLE FOR TWO」と名付けられました。
毎日の食事に目を向け、ヘルシーなメニューを選ぶだけで世界の飢餓や肥満の解消に役立てるというユニークな「TABLE FOR TWO」。
そのネーミングの由来も含め、1食ごとに開発途上国のどこかで給食を食べる子どもの笑顔を思い浮かべたくなる、素敵なアイデアだと思いませんか?
-
アフリカの人々を感染症から救いたい!サラヤの「100万人の手洗いプロジェクト」&「病院で手の消毒100%プロジェクト」
サラヤ株式会社123 -
廃棄布に新しい価値を。布のアップサイクル新素材「NUNOUS (ニューノス)」
セイショク株式会社199 -
もみ殻が水と空気を浄化する新素材に!ソニーが生んだ「トリポーラス」とは
ソニー株式会社230 -
生活が厳しい家庭の子ども達に笑顔を。「こども宅食」を全国へ!
一般社団法人こども宅食応援団206 -
「飢餓」と「肥満」を同時に解消! 「1食を分かち合う」TABLE FOR TWOプログラムとは
TABLE FOR TWO International360
注目記事ランキング