SDGs SCRUM

SDGsに取り組む企業や団体を応援するメディア

自然の恵みを無駄にしない! 卵の殻を価値ある資源に

2020.08.03 キユーピー株式会社
応援26

応援が力になります!

自然の恵みを無駄にしない! 卵の殻を価値ある資源に

私たちの生活に欠かせない食料品。中でも、製造工場で原材料を加工してできる加工食品は、すぐに使える便利な食品として生活に浸透しています。今回取り上げるのは、そんな身近な加工食品の中でも、普段よく使われるマヨネーズなどを製造しているキユーピーグループの取り組みです。

キユーピーグループでは大量の卵を使用しており、多くの卵殻(卵の殻)と卵殻膜(卵殻の内側にある膜)が排出されます。この卵殻と卵殻膜を不用な廃棄物として処理するのではなく、資源として再利用することで食や健康に貢献することを目指すことに、1956年から取り組んできました。

当初は高度成長期に入ったばかり。より豊かな生活を目指して便利さと快適さが求められていく時代でした。キユーピーグループは、60年以上も前のこの時代から、便利さや快適さだけでなく、自然の恵みに感謝し、社会や環境保全への貢献を摸索することをスタートさせていたのです。

肥料として食品としての卵殻の利用価値とは

日本は世界第2位の卵消費国であり(※1)、中でもキユーピーグループでの卵の使用量は約25万トン、日本で消費される鶏卵の約10%にも上ります。卵を加工した後に排出される卵殻は約2.8万トン。キユーピーグループでは、この卵殻を天日に干し、土壌改良材(肥料)として販売するという方法での再活用から始めました。

2016年には卵殻を水稲に施肥することでコメの品質向上が見込めることを証明(※2)。単なる肥料としての役割だけでなく、天候不順による稲への影響を抑え、収穫量を改善する効果があることなどを大学と共に研究を重ねています。キユーピーグループは、価値ある資源としての卵殻に、さらなる付加価値を見出すことを目指して取り組みを進めているのです。

キユーピーグループでは、卵殻を食品として活用する道をも見出しました。その背景には、高齢化問題があります。高齢化が進む日本で大きな課題となっているのが、要介護段階の一歩手前、「フレイル」と呼ばれる心身の活力の低下や、寝たきり状態になることを防ぐことです。また、骨粗しょう症がフレイルや寝たきりの引き金になり、医療費や介護の問題をさらに深刻にする大きな要因となっています。そんな骨粗しょう症の予防や改善にはカルシウムの摂取が欠かせません。

加えて、世界には栄養が不足する子ども達も多く存在し、カルシウムをしっかりと摂取できれば、体位改善や健康状態の向上につながる可能性があります。

キユーピーグループは、多くのカルシウムが含まれている卵殻を食品として加工できないかと考えました。そして、同様の課題を持つベトナムの研究機関と共に、卵殻カルシウムの人の骨に与える有効性を長期にわたって調査しました。

その結果、卵殻カルシウムが炭酸カルシウムよりも骨量の増加に効果的であることが確かめられ、ベトナム政府の協力を経て、現代では卵殻カルシウムの強化食品として商品化されるに至りました。

先生による講演風景

卵殻膜がアンチエイジングに有効な化粧品原料に!

卵殻には、内側に卵殻膜という膜が付着しています。卵殻膜は20種類ものアミノ酸、コラーゲンやヒアルロン酸などヒトの美容や健康維持のために役立つ成分を多く含み、優秀な素材であることが分かっています。(※3)かつては力士が傷を治すために傷口に張り付けて使うこともあったそうです。

卵殻膜を有効利用できれば、卵を100%活用することができます。しかし、卵殻膜を単独で使うためには、卵殻に張り付いた卵殻膜を卵殻から分離しなければなりません。

薬品を使った化学的な手法を使わず卵殻膜をはがすことは難しく、分離作業は困難なものでした。キユーピーグループは、1980年代前半より、卵殻と卵殻膜との分離技術の開発をすすめ(※4)、多くの課題を抱えながらも創意工夫を重ね、独自の製法による分離に成功し、1991年から化粧品原料として活用されています。化粧用途の機能としては、主にⅢ型コラーゲンの産生で、これは肌のしなやかさ、弾力を維持する役割を担っています。

「食品産業もったいない大賞」を受賞!食と健康へのさらなる貢献を目指して

卵を卵殻、卵殻膜まで余すところなく活用する道を、長い年月をかけて見出したキユーピーグループ。その取り組みは、第7回「食品産業もったいない大賞」において「農林水産省食料産業局長賞」を受賞するという形で、資源の有効活用や環境保全への貢献度を高く評価されました。それは同時にSDGs目標12「つくる責任つかう責任」にも、大きく貢献したということができるでしょう。

また、卵殻を活用した土壌改良、農産物の品質向上、生産性の向上といったことがさらに進んでいくことで、SDGs目標2「飢餓をゼロに」の貢献にもつながっていきます。発展途上国、中でも後発開発途上国においては農業生産能力を高めることが課題となっており、キユーピーグループの取り組みは、将来的に国内外の農産物の生産性向上を大きく引き上げる可能性をも秘めているといえるのです。

今後、こうしたキユーピーグループの有意義な取り組みを通じて得られた知識や技術が、国内外の専門家や大学、研究機関、学会などと共有され、卵殻、卵殻膜の有効利用による社会課題解決がさらに進むことが期待されています。