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使い終わった紙を再生する「PaperLab」が目指す『環境配慮型オフィス』とは?

2020年07月01日 エプソン販売株式会社
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私たちの生活に欠かすことのできない、紙。ペーパーレスが提唱される昨今においても、紙には見やすく、書き込みがしやすく、携帯にも便利といった普遍的な価値があり、多くの人がためらいながらも紙を使用し続けています。

一方で、紙の製造やリサイクルには大量の木材や水などの資源が必要とされ、例えば7.7トンの紙を作る際には、84本の木材(※1)と7,610㎥の水(※2)が使われます。さらに原料や製品を輸送するためにCO2も排出されており、紙の使用・廃棄量を削減することは環境課題の一つとなっています。

これらの課題解決のため動き出したのが、プリンターのリーディングカンパニーであるエプソン販売株式会社(以下、エプソン)です。紙の良さを損なうことなく、環境負荷を減らし、セキュリティを高めるための新しい解決方法として、使い終わった紙をその場で新たな紙に再生する「PaperLab(ペーパーラボ)」を開発しました。

現在、様々な表彰を受けて国内外から注目を集める「PaperLab」は、SDGsの目標12「つくる責任つかう責任」だけでなく、目標6、8、9、11、15に貢献し、さらなる価値展開も期待されています。

今回は「PaperLab」とエプソンが提案する「環境配慮型オフィス」についてご紹介いたします。

環境保全、セキュリティ対策、新たな雇用、様々な効果を生む「PaperLab」

2016年12月の販売開始以降、多くの評判を呼んだ「PaperLab」は、第1回エコプロアワード「経済産業大臣賞」や令和元年度 全国発明表彰「朝日新聞社賞」を受賞。様々なメディアにも紹介され、その発想の斬新さやSDGsへの貢献度が高く評価されています。

1942年、長野県諏訪地方にて創業したエプソンは、「地域との共生」を礎とし、事業がグローバルに展開していく中、1988年に「フロンレス宣言」を行うなど、地球規模の環境問題に対して早い段階から取り組んできました。創業者の「絶対に諏訪湖を汚さない。周辺に迷惑をかけず、地域に受け要られる工場になる」という意志を現代にも受け継ぎ、エプソンでは「地球を友に」「社会とともに発展する開かれた、なくてはならない会社でありたい」という一文を企業理念に掲げ、2018年にはSDGsへの貢献をコミットしています。

このような精神のもと、サスティナビリティの本質を追求して開発された「PaperLab」は、使用済みの紙(※3)を原料とし、文書情報を完全に抹消した上で新たな紙を生産する、世界初の乾式オフィス製紙機(※4)です。

従来の製紙と比べて、水の消費量は99%減、CO2排出量は34%減、木材資源は100%節約(※5)。ゴミの削減にも繋がっており、様々な環境問題に貢献しています。

PaperLab A-8000を1年稼働した場合の環境効果

またオフィス内に設置し、その場で紙を繊維にまで分解できることから「情報漏えいリスク」を回避し、セキリティ対策にも新たな一手を提供しています。

さらに「PaperLab」の導入によって新たな雇用も生まれています。これまで社内で行っていなかった紙の再生作業を自社内で取り込むことで、新たな職域が拡大され、高齢者や障害のある社員の活躍の場につながっているのです。

社内のアップサイクル(※6)のみならず、環境教育や意識の向上へ寄与

「PaperLab」は、既に多くの企業・自治体に取り入れられています。オフィス内のリサイクルを推進することはもちろんのこと、自治体では環境教育教材や環境政策としても活用され、企業では環境推進を中心とするSDGs、CSRへの取り組みのシンボルとして、企業ブランド価値の向上につながっています。

「紙の使用量は、一年度で400トンを超えていた」という導入先の自治体では、現在、専用の回収ボックスを8箇所に設置し、週に2度回収、1回で約15~20kgの使用済み用紙を3000枚前後の新しい紙に再生しています。また、子どもたちに環境に興味を持ってほしという想いから、社会科見学で来所した子どもたちに「PaperLab」を紹介したり、見学時のお土産や「子ども教室」の参加記念品として、再生した紙で作ったノートをプレゼントしたりしています。

用途にあわせて、様々な用紙を生産

「機密情報が載った使用済み用紙の保管、廃棄処理には手間、コスト、管理労力が必要とされ、負担が大きかった」という導入先の企業では、「PaperLab」の導入により機密性の質が向上したと考えています。実際に社内で使用することで、社員の環境やセキュリティへの意識を一段と上げる良いきっかけにもなっているそうです。

資源、働き方、環境を持続可能にする「環境配慮型オフィス」の実践

「紙」と「オフィス」に向き合い続けてきたエプソンでは、資源、働き方、環境、全てを持続可能にする新しいオフィスの在り方を模索してきました。そして現在、SDGs時代にふさわしいオフィスとして「環境配慮型オフィス」を推進しています。節電効果のある「インクジェットプリンター」や「PaperLab」を導入することで、紙の利便性を活かしながら、環境負荷を減らし、さらにはコストダウンやセキュリティ強化という経済価値を得ることができるオフィスです。

エプソンでは、新宿オフィスを中心にまずは自社で「環境配慮型オフィス」を実践し、2019年7月から2020年4月までに「PaperLab」を活用し、新たに1,236,057枚(6.9トン)もの紙を製紙し、それに伴い、75本の木材、500mlペットボトル1,328万本の水、3.45トンのCO2を削減しました。

さらに、エプソンではインクジェットプリンターをオフィスの中央に配置し、部署を超えたコミュニケーションが生まれるオープンスペースとして活用したり、紙の回収、選別、再配布などの作業に新たな雇用を生んだりと、「PaperLab」の運用と共に様々な取り組みが生まれています。

「環境配慮型オフィス」が社会の当たり前になれば「持続可能な社会」を実現できると、エプソンではその提案に力を入れています。

2020年2月28日、エプソンは『経済の発展と地球環境との共生に寄与した企業』に贈られる「地球環境大賞」の経済産業大臣賞を受賞しました。創業以来、ものづくり企業としてのDNAを受け継ぎ「省エネルギー・小型化・高精度」を追求し続けることで培った技術力こそ、エプソン最大の強みです。

SDGs時代において「持続可能な社会」を目指すエプソンの、今後の活躍に期待したいです。

※1 一年間、PaperLabを稼働して作られる紙は約7.7トン。通常の製紙で同じ量の紙を作るときには、7,610㎥の水を消費します。
※2 7.7トンの紙を作るには、古紙パルプが21%含まれる用紙でも、84本の木材が新たに原料として使用されます。
※3 乾式オフィス製紙機として世界初(2016年11月次点、エプソン販売株式会社調べ)
※4 一般オフィス用紙(A4,A3 PPC用紙1)
※5 エプソンホームページ 「PaperLab」製品情報

※6 単に素材の原料化や再利用ではなく、元の製品よりも次元・価値の高いモノを生み出すこと

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