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廃棄布に新しい価値を。布のアップサイクル新素材「NUNOUS (ニューノス)」

2021年05月17日 セイショク株式会社
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布のアップサイクル新素材「NUNOUS (ニューノス)」

私たちの生活に欠かせないものの一つに布があります。

衣食住の「衣」はもちろんのこと、カーテンや寝具、家具など、いろいろな用途に布が用いられており、布は日常生活の必需品と言えるでしょう。

しかし、様々な色や種類の布が日々製造され、製品となって消費者のもとに届けられる一方で、多くの規格外の布や端材が生まれているということは意外と知られていないかもしれません。

布を製造する繊維業は、水やエネルギーをたくさん使う業種でもあり、多くの資源を用いて製造された布が無駄になってしまうことは、繊維業での大きな問題の一つとなっています。

こうした繊維業の環境問題を解決すべく、岡山にある創業141年の染色会社「セイショク株式会社」が、規格外品や繊維端材を使って開発した新しい素材が「NUNOUS(ニューノス)」です。

繊維業の環境課題を解決に導くことで、SDGsの目標12「つくる責任つかう責任」、目標13「気候変動に具体的な対策を」、さらには目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」の3つに貢献することが期待される新素材「NUNOUS」をご紹介いたします。

廃棄かダウンサイクルか。繊維業の規格外品の行く末

様々な分野での環境課題が叫ばれている昨今ですが、布という身近な素材を製造する繊維業も環境問題と無関係ではありません。

それどころか、実は繊維業は環境への負荷が大きく、いくつもの課題を抱えています。

そうした繊維業界の環境課題の一つに、規格外となってしまった布や繊維端材があります。

多くの水やエネルギーを使って製造される布ですが、品質基準に満たないからという理由で、規格外の布や繊維端材が発生してしまいます。

日本での布の生産量は年間約18憶㎡(※1)、そのうち規格外品として無駄になってしまう布は約900万㎡以上と推測されます。

それはなんと、45cm幅にして地球半周分の長さ、広さにして東京ドーム192個分にも上る計算です。(※2)

こうした規格外品は、今までは焼却などによって廃棄されるか、粉砕してフェルトなどに再加工するダウンサイクルで対処されてきました。

しかし、廃棄ではさらに経費がかかるうえ、焼却によるCO2の排出など環境への負荷が増すばかり。

繊維業は、規格外品や繊維端材をどう処理するべきかという問題をこれまで抱えてきました。

規格外品から新しい質感と意匠性を兼ね備えた新素材「NUNOUS」誕生

セイショク株式会社では、この「規格外品や繊維端材をどうするか」という大きな課題に危機感を感じていました。

「規格外品を、廃棄したりダウンサイクルしたりするのではなく、新しい価値を持たせるアップサイクルをする方法はないか…」

そして2013年、規格外品や繊維端材を使った新素材を開発するプロジェクトを開始します。

試行錯誤を重ねてたどり着いたのが、これまでにない質感や意匠性を兼ね備え、様々な用途に活用可能な新素材「NUNOUS」です。

 skin water

規格外品や繊維端材を固めて作る「NUNOUS」は、縦の断面の美しさもさることながら、横にスライスした時に現れる独特のパターンに特徴があります。 2020年4月、「NU=新しい、NUNO=布、US=明日」という意味をこめ、「NUNOUS」と名付けて正式にリリースされました。

インテリアやステーショナリーに活用。異分野へも提案、未来の新素材に

現在、「NUNOUS」には板状の「STONE」と、シート状の「SKIN」が用意されています。

「STONE」は、アートパネルやテーブル、イスなどインテリアの素材として、「SKIN」は壁紙として使用するのはもちろん、財布やカードケースといったステーショナリーのオリジナルプロダクト作製にも適しています。

布のアップサイクル新素材「NUNOUS (ニューノス)」

「STONE」は2021年3月2日に特許を取得しました。

接着剤を使って布を積層体にするという手法は今までにもありましたが、セイショク株式会社では、ポリマーを含侵、加圧しながら冷却して固化させるという特殊な製法を開発。

この製法で作られた積層体は、同じ厚さの合板と同程度の強度があり、断面の意匠性に優れていることも合わせて評価され、特許が認められたのです。

大理石を思わせる美しい表情と多彩な加工性で、新しいサスティナブルな素材として様々な活用が期待されます。

まだ新しい素材でありながらも、実際に「ハイアットリージェンシー東京」「グランドベース倉敷中央」「グランドベース岡山駅前」といったホテルのインテリアに導入され、「桃太郎ジーンズ」「篠原テキスタイル」をはじめ、さまざまな分野の企業ともプロジェクトが進行中です。

これらの背景には、「コストをかけてでも、環境への負荷を減らし、無駄をなくそう」という環境問題への関心と理解、そのために「資源を有効活用した素材を取り入れたい」という思いがありました。

こうした思いと、「NUNOUS」が持つ模様や質感、汎用性といった魅力への評価が結びついた結果といえるでしょう。

将来的には、布素材を用いる分野はもちろんのこと、布とは関連のなかった異なる分野にも提案を進め、木やレンガ、紙といった一般的な素材と並ぶ選択肢として成長していくことを目指しています。

繊維業の環境課題の解決と、ブランド価値の向上に役立てたい

セイショク株式会社では、自ら「NUNOUS」やオリジナルプロダクトを製作・販売するのはもちろんですが、一歩踏み込んだ興味深い取り組みとして「ANOTHER NUNOUS PROJECT」を行っています。

これは、クライアントが抱える規格外の布や端材を原料にして「NUNOUS」を作製、プロダクト製作までをサポートしていく活動です。

企業ぐるみで環境問題の解決に当たることが求められる現在、このプロジェクトを展開することは、企業の環境への取り組みをサポートし、様々なブランドの価値を押し上げる力になっていくことでしょう。

国内外の企業や自治体との共同開発も進めている「NUNOUS」を通じたこうした取り組みは、繊維業が抱えている環境への課題を解決に導き、脱炭素社会の実現に向けた大きな一歩になることが期待されています。

「NUNOUS」と「NUNOUS」が生み出した新しい取り組みのこれからが楽しみです。

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